インバウンドビジネス法務⑥~中国越境ECにおける留意点

110001.png    近年,マスコミや新聞等で中国越境ECが関心を集めています。越境ECの発展は経済を推進し,消費者にとっても便利になりました。今回,中国越境ECについて中国法的な問題を分析します。





 

1.中国越境ECとは

 中国越境ECとは、日本に居ながらにして中国国内の中国人消費者へネットで販売する、中国政府も認めている方法であり、今までのように法の目をかいくぐる方法ではなく、合法的に日本から中国へ日本の製品を輸出する商取引全般を指します。
 
 中国商務部の予測によると、2016年中国越境EC輸出は6.5万億人民元に到達し、30%の年増長率に到達し、中国の総輸出貿易の20%になりました。今後も自由貿易試験区の数は増加する傾向にあり、中国越境ECのマーケット規模はさらに拡大すると言われています。

2.中国越境ECにおける留意点

1)法律上の留意点

(ア) 契約書の法的問題
 中国越境ECに関する契約書の問題,プラットホームと日系経営商、プラットホームと中国の消費者、日系経営商と中国の消費者の契約権利義務がうまくできないと、紛争が起きる可能性が多いです。渉外紛争解決、準拠法及び管轄権の問題は非常に重要です。
       
 また、越境EC経営者は代理店と契約してインターネットを運用するときは、
1)代理店の身分や履行能力
2)契約書の重要条項が完璧
3)契約締結手続きと内容は合法性を判断
4)信用監督条項
5)紛争管轄権と準拠法条項
6)契約書の締結場所を明確
7)違約条項
8)所有権保留条項
9)担保条項

等を確認する必要があります。
 

(イ) 知的財産権の法律問題

 日本の会社が中国で事業を行うとき,このブランドが中国国内で他の人に商法登録されてしまう場合もあります。それため,事前に中国国内の知的財産権を取得しなければならなりません。2015年4月24日、廣州中級人民裁判所より、New Balanceの新百伦貿易(中国)有限会社が、他人の“新百伦”商標を使い、商標専用権を侵害するとの判決が下されました。New Balanceが9800万人民元を相手に賠償することが命ぜられた。《南方日報》により、知識産権について、上記の賠償金額は廣州中級人民裁判所の判決中で、史上最大の賠償額でした。New Balanceが商標を損失した以外、巨大な経済損失もありました。その後、新百伦貿易(中国)有限会社が控訴し、2016年6月23日判決が下され、New Balanceが敗訴した,賠償金額が500万人民元でした。
 

(ウ) 経営者届出の法律問題

 中国の法律《越境EC経営主体と商品届出管理工作規範》によると,越境EC日本の経営者は越境ECを行う時、必ず検査検疫機関に経営者届出の情報を提供しなければなりません。越境EC経営者は商品を売り出しはじめ前に、検疫機関に商品届出の情報を提供する必要があります。越境EC経営者は情報プラットホームを通じて検疫機関に届出をします。届出の情報が変更する時、越境EC経営者は検疫機関に届出の情報を更新しなければなりません。
 

(エ) 中国消費者との法律問題

中国の消費者へ商品を販売するので,消費者保護の法律問題を解決しなければならないです。例えば,中国の消費者と法的不備がない《サービス契約》を制定して、口座設置や交易手続きなどの基本内容を決めます。また、《返品契約》や《責任制限及び担保を承諾しない契約》や《交易紛争処理契約》などの規定を著しい方法で消費者に告知します。

2)税務上の留意点

 公正競争のビジネス環境及び越境EC発展のため、国務院により、越境EC輸入関税について,2016年4月8日中国政府による税金の改正(新制度)が発表されました。改正は1度の購入金額上限を2000元とし,1人あたりの年間購入金額の上限は2万元と定めしました。購入金額の上限以下の購入商品に関しては関税率(輸入商品に課せられる税金)を0%にしました。輸入時の増値税(流通の階段で商品に課税される税金)を30%に減額し、そのかわり全てのケースで増地税を適用し、消費税がかかる商品は30%の減額で適用します。行郵税(個人携帯輸入物品や個人輸入郵送品に対して課税される税金)を廃止されました。1度の上限や1人あたりの年間購入金額の上限をオーバーした時、通常の貿易方法で税金を払います。
 

税金改正の影響

種類

税金

変更

食品,赤ちゃん 用品

改正前

行郵税:10%,50元以内免税

11.9%税をプラスすること

改正後

増値税:17%×70%=11.9%

一般

改正前

行郵税:20%

8.1%税をマイナスすること

改正後

増値税:17%×70%=11.9%

化粧品

<100元

改正前

行郵税:50%,50元以内免税

32.9%税をプラスすること

改正後

増値税:17%×70%=11.9%

消費税:30%×70%=21%

化粧品

>100

改正前

行郵税:50

17.1%税をマイナスすること

改正後

増値税:17%×70%=11.9%

消費税:30%×70%=21%



 新制度の混乱を懸念して,2016年5月24日、《越境EC小売輸入の新たな監督管理要求を執行することに関する事項に関する税関総署弁公庁の通知》により、一年間の過渡期の新政策を設定しました。通知により、今回の新制度の「輸入商品の制限」に関しては、全国10拠点(上海、杭州、寧波、郑州、広州、深圳、重慶、天津、福州、平潭)において新制度の施行を2017年の5月11日まで、約1年間延長するということになりました。輸入商品に関しては、旧制度を適用するということです。
 
 旧制度では、保税倉庫に入れる海外輸入商品に「通関許可」は要りませんでしたので、引き続き5月11日迄に関しても同様の状況で進められる。また「正面清单」リストに掲載されておらず、初めて中国に輸入する商品についても、「輸入許可書」や「衛生許可」などはしばらく必要なくなるということです。
 

3)その他

 越境支払や輸出商品制限や越境EC資金の収支の法律問題もあります。

3.今後の留意点(改正に関する動向)

 2017年5月11日まで中国の一年間の過渡期の新政策は終わりますので,日本の企業は混乱の状態になる可能性が高いだと思います。2017年5月、税金新制度は正式に実施します。多数の越境EC企業は商品を中国国内の保税区に保管されています。現在、保税区の通関は便利、簡単ですが、今後の検査制度が普通貿易と同程度になるため、原産地や正規商品の表示も必要になります。特に、化粧品や食品等の健康に影響する商品は中国検査基準をクリアして、及び中国検査局の許可をもらわなければなりません。現在は2017年5月11日以後の検査措置がどれほど厳しくなるか現在は予測できません。それで,中国の税金制度を継続見守らなければなりません。
 

4.弁護士に相談すべき事項

(ア) プラットフォーム提供企業との契約内容や約款の法的チェック(準拠法と紛争解決)
(イ) 代理店との契約における留意点(リスクの洗い出し及び契約書等のチェック)
(ウ) 中国に会社を設立の手続
(エ) 中国の税金新制度関係の法律調査
(オ) 中国国内における法律上の税金上のリスクの洗い出し
(カ) 他の法律問題

インバウンドビジネス法務

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