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コラム

弁護士 本杉明義のコラム

第6回 独立・起業を志す方々へ(弁護士編)

 

  1. 私が勤務先の法律事務所を独立して当事務所を立ち上げてから早3年半が経ちました。このホームページの最初のコラムで「独立・起業」を勧める内容を書きましたが、最近では有名大学の新卒学生が将来の独立を睨んで就職先を選ぶような時代になり、「独立・起業」はもはや就職における一つの選択肢にまで定着した感があります。また最近、30歳代の勢いのある若手経営者の方々が多方面で活躍されている姿には大変勇気づけられるものがあります。

  2. 他方、法律事務所に目を向けると、最近は大規模事務所同士の合併話が多数見られます。新聞紙上でも数日単位で大規模事務所同士の合併・業務提携の記事が掲載されています。民間企業でもM&Aが非常に盛んであり(最近では大企業だけでなく、従業員数十人程度の中小企業でもM&Aが行われているようです)、法律事務所でも同様の動きだと思いますが、将来的にはクライアントとして海外の企業を多数抱え、海外の法律事務所と共同して運営するようなグローバルなローファームとなっていくように思われます。

  3. それでは従来型の小規模個人法律事務所はこれから淘汰されていってしまうのでしょうか。私自身も新聞紙上で大規模事務所同士の合併話を見ると気にはなりますが、これまでの経験から言えば、個人事務所でもまだまだ十分に対応できると考えます。そもそも弁護士数の絶対的な不足からこれまで法律事務所の業務の対象となっていなかった仕事がまだまだ多数ありますし、元々弁護士の仕事は職人技的な内容が求められ、事務所の規模に関係なく最終的には弁護士個人の力量に拠る部分が大きいからです。そして私が独立直後に経験した印象から言うと、弁護士自身にまだまだ努力と工夫の余地があると思われるからです。例えば、仕事の依頼を受けることが全くないのに長年の付き合いから多額の顧問料を受け取っている顧問弁護士の存在や、委任を受けたら直ぐに対応する、電話を受けたらなるべく早目に返事をするといった当然のビジネスマナーができていない弁護士が少なからず存在することが分かりました。また顧客からの預り金についてその使途を説明していないようなケース(相手方への支払に使われたのか弁護士報酬なのか分からない)も何度か目にしました。要するに弁護士業界はまだまだ発展途上であり、これから努力と工夫の余地が大いにあるという印象です。

  4. 勤務弁護士時代は最終的に責任を取る必要もなく、ボス弁の指示に基づいて仕事を「やらされている」という感覚で、最後の頃は緊張感に欠けた状態でした(長年イソ弁を勤めていると「番頭さん」のようになってしまうという話を聞いたことがあります)。今後は、弁護士という肩書きだけで将来設計が成り立つような甘い時代ではなく、法律事務所に就職しても民間企業並にリストラや不本意な転職を余儀なくされることが十分にありますから、常に独立・起業を意識して技術とノウハウを修得することを心掛ける必要があるでしょう。そして新卒者ないし社会人の方々も独立・起業の手段として「弁護士」資格の取得を目指して欲しいと考えます。法律事務所は在庫を抱えることもなく、設備投資も殆ど不要であり、主な経費は人件費と家賃位ですから、資格さえ取得できれば独立・起業が最も容易な職種だと思います。依頼者の利益の実現のために最善を尽くすという仕事の性格上、相当のプレッシャーはかかりますが、少なくとも仕事の内容に飽きることは全くありません。
 

平成17年2月
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