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コラム

弁護士 本杉明義のコラム

第8回 「子供の自立」「家族のあり方」 

 

                               

1. 私は、最近、子供が通う小学校のPTA会長になり、同年代のお父さん・お母さん方と接する機会が増えました。また私は、弁護士会で家庭法律相談の担当をしており、家族間の紛争について多数の相談を受けています。最近、家族間での猟奇的な殺人事件も増えており、もはやそのような事件を特別な物と見るだけではすまない状況に至っています。私も、子供を持つ親として、弁護士として、真剣にこの問題を考える必要を感じています。


2. 私は、子供に対する教育の目的は「子供の自立」にあると考えます。子供が親から巣立って、厳しい競争社会で生き延びていくためには、様々な知識を得て、また肉体的にも精神的にも健やかな体を作る必要があります。現在、日本には数十万人の「引きこもり」が存在し、働くことが出来るにもかかわらず働かない人達を加えると、100万人にも及ぶとのデータがありますが、結局、自立できない大人が増えているのだと思います。そしてなぜ大人になっても自立できないかというと、自立できるような教育(学校教育、家庭教育)が十分なされていないからに他なりません。

3. それでは「自立」できるような教育とは、具体的にどのようなものでしょうか。まず社会の厳しさを教え、厳しい生存競争を生き延びていく手立てを教えるのがお父さん方の役割だと考えます。ところが現在の働き盛りの世代は、リストラや競争激化の煽りを受けて、深夜に帰宅することも少なくなく、子供とコミュニケーションを取る時間が極端に少ない環境に置かれています。この点は、政治や法律にも関わりますが(ワークシェアリング、残業規制など)、現役世代は、今後、国や企業が自分達家族の生活の面倒を、十分に見ることができるような余裕がないことを十分に自覚し(定年を迎えるまでに住宅ローンの支払を終え、多額の退職金を貰って老後悠々自適の生活を送るといったモデルは破綻している)、自分達の生活は自分達で守るしかないことを自覚して行動すべきです。

4. またお母さん方に期待されるのは、「子供の自立」の芽を摘むような教育をしてはならないという考え方です。最近、大学生の子供の親が大学に細かな要求をして大学側が困っているという話を聞きますが、まさに「子供の自立」の芽を摘むようなやり方だと思います。「子供」は好奇心の固まりであり、子供が積極的な行動に出ることを親としては一歩後ろに下がって暖かく見守る位が適当であり、過干渉は「子供の自立」の芽を摘む以外の何物でもありません。

5. 学校教育のあり方も「子供の自立」を促すといった観点から見直す必要があります。現在の学校教育は、「グライダー型の人間」(誰かに後押ししてもらえないと飛べない)を作り出すには適しているが、「飛行機型の人間」(自力で飛べる)を作り出す内容になっていないと言われて久しいのですが、今後、社会で必要とされるのは「飛行機型の人間」であり、「グライダー型の人間」の価値が低下していく現実を十分に認識すべきでしょう。

 

 

 

平成19年5月30日

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